ネパリ・バザーロの活動紹介


ワンコインコンサート ワークショップ
高校生によるハンガーバンケット未来版


 県立神奈川総合高校有志によるワンコインコンサートは、毎年あ〜すぷらざのホールでイベントを行い、その収益でカンチャンジャンガ紅茶農園の子どもたちへの奨学金支援を行ってきました。8回目の今回は初めて2日間の企画とし、ハンガーバンケットとネパール料理教室を組み合わせたオリジナルのワークショップに、ネパリ・バザーロが協力しました。
 総合高校の学生や家族が参加し、前半はネパール料理教室です。2種類のカレーを作り、会場に溢れるスパイスの香りに皆ワクワクしています。ところが、いざ出来上がってみるとクジで席が決められ、豪華な富裕層の席についた3人には、大盛りのカレーに加えて、フルーツや菓子まで振舞われました。普通の席に着いた中間層15名にはご飯の上にカレーの汁をひと匙かけたものが渡され、床に敷いたダンボールに座らされた貧困層には、味をつけていない蕎麦がきだけが鍋ごと置かれました。
 黙々と白ご飯を食べる中間層。カレーが一口も食べられずざわめく貧困層に、ハンガーバンケット「未来版」として今回考えた仕掛けが登場。人口爆発として数名が貧困層にプラスされました。加わった人たちは銃を持っていて、富裕層のご馳走を奪おうと持ちかけます。厚紙を切り抜いただけとはいえ、銃を見て一瞬引いていた貧困層も、次第にその気になって立ち上がり、富裕層からカレーの大皿を奪い、皆で分け合って食べ始めました。驚いて眺める中間層を尻目に、勢いがついて、フルーツや菓子も奪い始めた貧困層。
 終了後、皆で感想を語りました。料理を食べられない他のグループに同情しながらも、分けてあげようとは思えなかった富裕層。ご飯だけであきらめてしまった中間層は、他から奪おうとする飢餓感も、奪ったら分け合おうという結束力もない自分たちのあいまいな立場を感じたようです。貧困層は、銃で襲おうと言われた時の戸惑い、富裕層が食べ終わらないうちに奪わないと本当に食べられなくなってしまうという焦り、奪った後の貧困層同士の連帯感、いったん奪ってしまうと次々欲しくなる欲望、奪ったカレーを中間層に「いいなぁ」と言われた時の腹立たしさ。自分たちの中に生まれた様々な感情を語ってくれました。
 このワークショップを計画している時、「知識のない子どもがやると、間違えたことを伝えてしまうかもしれないので良くない」と言う人がいたそうです。司会を務めた阿部万里香さんと國本早紀さん(共に高2)は、何歳になっても完璧はありえず、常に学んでいくものだし、高校生でも小中学生でもその時に行動できることはある、今できることをしていきたいし、同世代の学生に伝えていきたい、と自分の言葉で熱く語りました。参加した高校生たちも私たちも、大いに刺激を受けたワークショップでした。

ハンガーバンケットとは・・・
世界の飢餓や貧富の差を疑似体験して、自分にできることを考えるきっかけにしてもらう「飢餓の宴」。実際の世界の比率に合わせた富裕層・中間層・貧困層に分かれ、それに応じた食事と対応を体験する。


作業所の皆さんとの交流
元気の出る忘年会


 年末の恒例行事、地域作業所の方々との合同忘年会も2006年で6回目を迎えました。この忘年会は、スパイスやヘナ、カタログの袋詰め作業、クッキーやケーキなどの製品作りでお世話になっている作業所のメンバーやスタッフの方々と、もっと交流したいという思いから始まりました。今回は「すぺーすモモ」「ライフ湘南」「サポートセンター径」「きらら」、福祉ショップ「朋」、ネパリ・バザーロ(以下ネパリ)スタッフ、ボランティアなど総勢42名の参加でした。
 まずは、ネパリのスパイスを使ったカレーやケーキなどの料理作りです。普段の作業と通じるところがあるようで、「小麦粉を計るのは、ヘナを計っているので得意だよ!」という方もいました。先に集まった20人ほどで3時間かけて皆の食事を作り、おいしそうなディナーの完成です。
 各団体入り混じって楽しくお話しながら食事をした後は、お待ちかねのゲームです。今回は連想お絵かきゲーム。ユニークな絵と解答が出て盛り上がりました。景品のネパリグッズに、感動のあまり立ち尽くして、目を潤ませていたメンバーもいました。
 最後に、マイクを回して一言感想を言ってもらいました。「来週分、100個作ります!これからもネパリのコーヒーのケーキ、美味しいのでどうぞ宜しくお願いします!」と「きらら」のメンバーの力強い声に会場から大きな拍手!ネパリの営業マンかと思うほどでした。「カレーの箱をダンボールに詰める時、ちゃんと50個あるかどうか、何べんも確認します。これが大切です」と繰り返す「径」のベテランのメンバー。週3回、「径」の喫茶コーナーで大好きな「松山千春」の歌を聞きながらネパリのコーヒーを販売しているメンバーは文字盤を指差しながら話してくださいました。「僕も!」「私も!」と皆さん積極的で、ビックリしました。「径」のスタッフ高橋さんは、「これからも、ネパリとこの関係を続けていきたいです。もっと良い商品作りに貢献できるようにがんばります」と心強いコメントでした。
 初めての忘年会は、皆緊張していて、食事の時もシーンとしていましたが、年を追うごとに知った顔が増えてきて、空気が和やかになってきました。今回は「きらら」という新しい仲間も増えて、さらに賑やかになりました。仕事を通して連帯感が生まれています。この活動に携わらなければ出会えなかった人たち。遠くネパールの生産者と、作業所の皆さん、そしてお客様。一方通行では無いやりとりが、ネパリの活動の原動力です。皆さんの笑顔に、また来年もがんばろう、と元気をもらった忘年会でした。
 
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