新フェアトレード基準に向けて:

T、統一フェアトレードの定義
フェアトレードは対話、透明性、尊重に基づく、取引による協力であり、国際貿易においてより公正な取引を追求する。また社会で冷遇され、厳しい立場にいる生産者により良い取引条件を提供し、彼らの権利を保護することによって持続可能な発展に貢献する。フェアトレードの従事者と消費者は生産者の支援や意識の向上、従来の国際貿易の規則と習慣を変えるため、積極的にかかわるものとする。

U、モニターリングのシステムは次の3つの活動を中心とする。
1. 自己評価
IFATのモニターリング・システムをつくるうえで最初の柱となるのが自己評価である。それぞれのフェアトレード組織が自らの実践を見直し、フェアトレードの基準に照らしてどの程度達成できているかを検討する。それにより、フェアトレードに様々な形で関わる人々、あるいは企業が、自己の活動及び業務を評価し、さらに改善していくための具体的目標を考える機会ができる。IFATは、この評価方法が効果的に行われるようにガイドラインを作って支援する。自己評価の資料は、データベータに保存してIFATのメンバーに公開し、相互見直しを行うときに参考として利用できるようにする。
2. 相互評価
この活動のねらいは、フェアトレード基準に関連して進捗状況を評価するため、互いの知識を共有して助け合おうとすることである。つまり、フェアトレードのあらゆる関係において、買い手が売り手に対して、また逆に売り手が買い手に対して、それぞれ監督し合うことで、情報が互いに行き交うようにしようということである。買い手は、生産者パートナーに対して、責任もって、自己評価報告書のコピーを提供する。また、生産者組織は、買い手に対して自己評価報告書のコピーを提供する。相互見直しを行うことで、互いの活動・業務の内容を、取引関係にあるパートナーどうしで評価ができる。この方法に役立つガイドラインを作成する予定である。
3. 外部評価
毎年、いくつかのフェアトレード組織を選び、それぞれに行われた自己評価について個人のコンサルタント、あるいは専門NGOに委託して調査・実証を試みる。Fair Trade Labeling Organizations International (FLO)がフェアトレード認証組織なので、コーディネーター的役割を果たすことになるだろう。毎年、IFATのメンバー組織のうち5〜10%のフェアトレード組織が、外部評価の対象となる予定である。

V、フェアトレード基準
1.経済的に厳しい立場にいる生産者の仕事創り
フェアトレードは、貧困を削減し、持続的な発展の有効な手段です。現行の貿易システムに於いて、立場の弱い社会で冷遇されている厳しい立場にいる生産者が仕事の機会を得られるようにすることです。

2.透明性と説明責任
フェアトレードは、経営、取引関係について隠し立てがなく、取引パートナーに対して公正に敬意ある姿勢で接します。

3.資質の向上
フェアトレードは、生産者の自立を助ける手段です。フェアトレードを通じた取引関係は、継続的なものであり、それにより、生産者と販売を行うフェアトレード組織は、管理能力や新しい市場への参入の技術を磨くことができます。

4.フェアトレードの推進
フェアトレード組織は、フェアトレードを広げ、世界貿易において正しい貿易(正義)が行われることの可能性の拡大を目指します。フェアトレード組織、生産者の情報と、生活状況を消費者に伝えます。正しい宣伝と市場を広げる技術により、品質の高い商品の提供に努めます。

5.公正価格の支払い
価格は生産コストと諸経費が見合うように、公正賃金が支払われるように設定します。公正賃金とは、社会的に納得できる生活費(現地相応の)のことであり、生産者が満足できる生活水準を保てるよう男女共に平等に支払います。フェアトレード販売組織は、生産者が商品にかかる経費の支払いや値段を掴んで公正な価格を決められるよう必要に応じて支援を行います。フェアトレード組織(仕入れ担当)は、輸入業者も仲買人も、生産者をはじめとするパートナーに対して速やかに支払いを行い、可能であれば、収穫前、あるいは製造前の支払い(前払い)も希望できるようにします。

6.男女平等
フェアトレードは、特に女性の仕事が正しく位置づけられ、報いられているかを意味します。女性は、常に生産者に従事した毎に支払が行われ、権利が与えられるように配慮していきます。

7.労働条件
フェアトレードは、生産者の安全で健康的な労働環境の確保を意味します。もし、いくらかの子どもが仕事に参加せざるを得ないときは、生活、安全、教育など必要な処置を取り、国連憲章における児童の権利条約を保障しなければならない。

8.児童労働
国連の子ども権利条約、及び、土地ごとの法律や社会的慣習を尊重し、子どもが生産に参加することがあったとしても、健康や安全あるいは教育や遊びのための必要性に悪影響が及ばないようにします。生産者団体が正式な組織でない場合は、子どもが生産に関わっていることを明記します。

9.環境
フェアトレードは、前向きに、より良い環境作りとその実践を目指します。

10.貿易関係
フェアトレード組織は、厳しい生活を余儀なくされている小さな生産者が、社会、経済、環境的により良い生活ができるように、そして、できるだけ収入が得られるように配慮しながら貿易を行います。連帯、信頼、そして相互の尊敬を背景に、長期の関係を築き、フェアトレードの促進と成長に努めます。必要により、収穫前、製造前のアドバンスを支払います。

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